ちょス飯のテレビ番組評

 プレミアムドラマ「蝶(ちょう)の山脈〜安曇野を愛した男〜」 ★★★★★

 ドキュメンタリードラマ
 
 田渕 行男氏の半生を描いたもの。この人のことを全く知らなかった。
 先の戦争中に東京から家族4人で疎開した安曇野の村で暮らすうちに、山々に魅せられそこに飛び交う高山蝶の美しさに心を奪われてしまった男がいた。。

 蝶の姿を写真で撮るだけでは飽き足らず、9種類の高山蝶を毎年調査探求して、彼らの食べ物である木や草まで育てて、卵から幼虫、さなぎに変化して羽化するまでを観察し、ついに一冊の本にまとめた男の物語だ。

 職に就かず観察ばかりしている生活は、どんどん困窮していくが、彼の妻はふたりのこどもに「お父ちゃまは日本一だから」と言い聞かせて、夫の古い靴下を何度も編みなおしたりして暮らしを支えるのだった。

 最後に行男の上梓した本を受け取り、最初の頁に「妻に献げる」との言葉を見て涙を流す妻。わたくしも、無論涙涙だった。

 昭和天皇も、彼の本に感動されたと侍従を通じて手紙を出されているという。

 早速、彼の著作『山の絵本 安曇野の蝶』を読んだ。写真のみならず、彼は蝶の写生を細密画で描いている。
 これもすごい。写真ではとらえられない、姿を。

安曇野の蝶 (山の絵本)

安曇野の蝶 (山の絵本)

  ★★★★★

 蝶を愛する心が見るものに、伝わってくる。自然をこれ以上滅ぼすのはやめよう。自然と共に生きなければ、蝶々やバッタ、小さき生き物も安心して暮せる環境でなければ、人間もいずれ滅びる。