ちょス飯の読書日記

 『二度目の大往生』  ★★☆☆☆

大往生 (岩波新書)

大往生 (岩波新書)

 7月7日に永六輔氏が亡くなっていた。12日には盟友大橋巨泉も後を追うように亡くなっていた。

 在りし日の彼の著作を読んでみた。これは、二番煎じの本だが、いつも永氏がラジオで語っていたことが活字に起こされていただけだったので、いんちきのような気がした。いや、ぶれないで同じことを語り、書き続けていたということか。

 知っているセリフばかりだったので、ややがっかりして二つ★とした。

 今から31年前の日航ジャンボ機墜落事故の乗客のなかには、坂本九ちゃん以外にも、彼の友人である電通の社員も乗っていたという。巻末の、10年目の法要での講演録には、死者と共に生きていることが語られていた。

 そうだ、亡くなった人々は生きているものの中で、そっと生きているのだ。35億年の生命の歴史とともに。

 『抱く女』   ★★☆☆☆

抱く女

抱く女

 これは、つまらなかった。桐野 夏生の毒がどんどん抜けてきてしまった。彼女と同世代の主人公、女子大生が怠惰な生活を続けて、誰とでも寝るが、「公衆便所」と言われてはっと気付く。
 自分の意思で寝ていたのに、男達は便所扱いしていたのだ。

 やがて、自分の意思で生きていこうとするまでが描かれているが・・・。主人公に魅力がなく、あまりにも平凡。ただ、男に支配されるのはいやだ、という差別に対する抵抗はいつもながらに、主張されていた。
 
 背景に中ピ連や、学生の内ゲバ、ジャズ喫茶、日本赤軍のリンチ事件の感想などが書かれている。桐野先生も、年を取って優しく丸くなってしまったのか。もっとおどろおどろしい展開を期待していた。