『カラマーゾフの妹』

カラマーゾフの妹

カラマーゾフの妹

   ★★★☆☆
 大長編『カラマーゾフの兄弟』の続編を、日本の女性作家が「父親殺しの真犯人」を探偵のように、綿密に調べ上げて結論付けた。
 理路整然としており、なるほどと、感心させられたが・・・。兄弟には、妹がいたと付け足して、足が不自由な彼女を守るためにイワンとアレクセイが、献身を誓うところや、イワンが多重人格者となっていくところ、善人の代表のようなアレクセイの別の顔・・・弟をかばって、犯人とされても甘んじてシベリア送りとなった長兄ドミートリー。

 父親が凄まじい、業突く張りの淫乱男だったとしても、これは家庭の物語なのだった。

 急転直下の落ちはどうも、腑に落ちないので☆マイナス2。

 物語はロシア革命前夜。ドストエフスキー自体が、皇帝暗殺の側の一人として銃殺されそうになったという事実がある。
 途中、SFになってしまうところもやや疑問。
 
 4男と思われるスメルジャコフが、父親に子として扱われず下男として虐げられた復習のために、遠大な計画を練り、兄弟をはめようとしたのか。
 人の心を操ることが出来たのか・・・・。

 これは、表向きの顔と恐ろしいの暗部顔二つを持つ、人の本性を見せ付ける小説だった。