おばあさんの遺族

 道を急いでいる人に、誰彼と無くおばあさんは声をかけて、「あなたの家族は元気かえ?」と尋ねていた。
 
 chosu-manmaもいつも、「元気でやっています」とそのたびに応えていたが、・・・。結局おばあさんは、おしゃべりがしたいだけなのだった。しかし、たいていの人は用事があって歩いている。バスの時刻に間に合うように、走る人にはさすがに声を掛けなかったようだが。

 おばあさんが、亡くなってから、葬式は家族のみで行ったそうなので、お線香を上げさせて頂きたい、と二番目の息子に言うと「まだ49日過ぎていないから」とか言って、そそくさと逃げるように家に入っていった。

 ああそうか、おばあさんの自慢の優秀な息子、孫たちは全然彼女の相手をせず、おしゃべりをしてくれなかったのだ。