ちょス飯の読書日記

 『バルバラ異界』①〜④巻 完結

   ★★★★☆

 これは、何重にも仕掛けがあり、テーマがいろいろあり、それぞれの人物の想いが、複雑に螺旋に絡み合って、最後にきっちりと謎が解けるSFマンガ。

 だが、難しすぎてよくわからない部分も多い。

 今回、再読してみてやっと判明した部分もある。ゆっくり租借して読んでみたい。

 近未来、眠っている人の夢の中に入れる機械が発明される。人の夢の中に入って、その人の深層心理を覗く仕事をしている主人公の「お父さん」。犯罪の証拠をつかむこともできる。しかし、そのような仕事を嫌い、男の子を産んですぐの妻から嫌われて、離婚。

 お父さんは、ある事件以来、ずっと眠り続けている少女の夢の中に入って、彼女を目覚めさせるという依頼を受けるが・・・・

 私たちが、今生きているこの現実の世界は、誰かの見ている夢の中の世界なのかもしれない・・・・。胡蝶の夢が、現実に現れたら・・・

 死んだ人の心臓を食べる、それは記憶の伝承としてある一族に習慣となっている・・・死体損壊、人肉喰いとはショッキングなことが描かれている。
 
 (しかしこれは、南の島の人々の姿を描いた坂東眞砂子著 『天唄歌い』でも書かれている。神の声を皆に伝える者は、死んだ時後継者に唇を食わせるのだという。私たちの先祖が、死者の肉を喰らって生延びたり文化を継承してきたとしたら、当然の習慣といえる。何も怖くない)
 
 それにしても、彼女が眠り続ける理由は悲しい。
 別れてから、育児に関われなかったお父さんの切なさ。

 不老不死の研究のために遺伝子を操作したり、卵を自由に研究材料としてつかうとか、火星と地球の戦い、未来への宅急便などなど・・・これは、理系脳の作家でなくては描けないマンガ。

 美しい弱々しい筆致だが、久しぶりに少女マンガの優雅な絵にも感激した。

 ただ、最後の章が詰め込みすぎでもう少し、ゆっくりとした展開の方が良かった。ページ数を増やしても良かった。それでマイナス1★