ちょス飯の読書日記
『うしおととら』1〜33巻 ★★★★★
10年ぶりくらいで、再読。最終回に近づくと『あしたのジョー』の手法のように、今までに登場した妖怪やヒーロー、ヒロインが出てきた。
今のマンガならもっと闘いの場面を長引かせるだろうが、短いページ数であっさりと闘いは終わった。ここまでの展開が、ずっとずっと凄まじいものだったが、心優しい14才の中学二年生のうしおが日本を救うという、あまりにスケールの大きな結末となった。
裏切り者となり白面の者の味方に付いた「ながれ」の兄ちゃん。とらとの闘いは、悲しかった。嫉妬、羨望、自己愛がどんなに、人間を狂わせるか。自ら妖怪とらに破れて死ぬことを選んで、流のにいちゃんはやっと「風の音」を聞かなくて済む。安らかに眠ったのだった。
心優しく単純すぎるうしおが、流を殺さざるを得なかったとらを誤解して「獣の槍」まで粉々に砕け散ってしまった場面は、本当に辛く絶望した。しかし、人間も妖怪も冥府から呼び出した死者、生霊たちまでもが白面の者との闘いに加わり・・・
現在放映中のテレビアニメ版は、省略され過ぎで、はしょりすぎている。
藤田マンガの処女長編であり、最高傑作を是非、ご一読下さい。
- 作者: 藤田和日郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1997/01/01
- メディア: コミック
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (34件) を見る