『うしおととら』再び

 アニメ化は無理だろうと思っていた、大長編少年漫画『うしおととら』のアニメが、東京MXテレビの7月3日22時30分枠で始まったので、chosuと毎週楽しみにして見ている。

 そこで、あらためてコミック版で読み返してみた。

 絵はまだまだ、藤田 和日郎先生の初期作品だからか、未熟だ。
 が、どの回も筆には魂が入っていて、先生描く妖怪たちが恐ろし過ぎる。
 多くの人々の血が流されてしまってから、うしおととらによって呆気なく、妖怪達は獣の槍をぶっさされて、風塵と消えたり、小さい本体に戻っていく。だが、ここでめでたしめでたし、では終わらない。

 ひとつひとつの物語、「白面のもの」を倒すための伏線になっており、うしおのまだ見ぬ母ちゃんが何故この悪者を、守っているのか・・・。

 その謎を解くために、うしおがとらと北海道に今、渡ろうとしているところまで読んだ。コミック7巻途中。東京から北海道旭川までのうしおととらの、ロ−ドム−ビ−の体をなしている。


 原作は凄まじい。擬音も、登場者も背景も。書き込みすぎて、黒いベタが非常に多い。各章の題名は、非常に小粋である。
 コミックの表紙の折り返しに先生近影や、裏表紙の折り返しにはアシスタント達とのやりとりが描かれていて、これもまた楽しい。
 それにしても、連載当時は、藤田先生には、ぼうぼうに黒髪が生えておられたのだなあ。

 アニメはかなり原作を削り、テーマ、内容は変えてないものの、簡略化してある。

 大人の都合、時間の都合で仕方がないことだが、とくに「凶羅」という人類最強とも言える坊主が「出ない」という判断は、残念だ。放送倫理規定の遵守、自主規定しているのだろうか。

 藤田先生も、アニメ化を許したからにはと、全編に関わって制作の注文を出されたという。大槻ケンヂのテーマ曲もタイトルバックも超かっこいい。

 

原作とアニメは別物だ。別作品として楽しもう。やはり、読み返してみて原作は、すごい。凄すぎる。