ちょス飯の読書日記

 『家族狩り』 ★★☆☆☆
  

家族狩り オリジナル版

家族狩り オリジナル版

 テレビでドラマ化されていたので、原作を読んでみたくなった。ほぼ原作を踏襲していたドラマだったことが分かったが、・・・。
 原作よりドラマの脚本の方が上だと思った。

 家庭内暴力の果てに親子、きょうだいで殺し合う事件が珍しくなくなった昨今、ではどうしたら家族は愛し合って暮らせるのか。
 アンチテーゼとして惨たらしい殺戮が描かれるが・・・。

 親子が心身の暴力による支配と被支配の関係であってはならない。再生するには、第三者の手が必要だ。しかし、相談を受ける側が狂っていたら・・・
 白蟻が、家の土台を食い荒らす様に、子どもが家を崩壊させる、その例えはなるほどと膝を打った。

 刑事、相談員、教師、そして親。どの登場人物も心に傷を負いながら大人になり、親になる。そして、現材もさまざまな問題を抱えて生きている。
 最後の最後に、刑事の家族が再生していくような描きかたであったので、やっとほっとできた。

 ただ、子どもがじょじょに狂って行く場面・親を殺すしかない、と決め付けていく課程は、よく分からない。ちょっと現実味がない。