ちょス飯の読書日記
『ペテロの葬列』 ★★★☆☆
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: 単行本
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着想が素晴らしいが・・・。過去を悔いて、自殺を決意したじいさんによる、狂言のバスジャック。その真の目的は、大衆の耳目を引きつけ、マルチ商法、先物取引の投資詐欺商法で多くのお金を集めて無罪放免となっている3人を懲らしめてほしい、というモノだった。
インターネット社会の恐ろしさも描かれていた。
虎の子の資産を、人の心を操れる教育を受けた詐欺師にうまうまと取られてしまった人々。自分も知らず知らず仲間を作って、加害者側に加担していく仕組み。
法で裁かれない人が、自殺に追い込まれたりすることを、犯人は願ったのだろうか。
本当にあった豊田事件などが下敷きになっている。
人質となった人たちに、犯人が慰謝料を送るという逆転の着想は面白かったが、誰に何円かは犯人から実行者へは伝えられなかったはず。ここは疑問が残った。
確かに、母親を介護をしてきたおばあさんが、認知症になってしまう物語は悲しかった。が、乗っ取り犯人の職業を、今多コンツェルンの会長がすぐ言い当てたり、主人公杉村が難事件を解決していくストーリーは、出来すぎている。終盤の坂本君のエピソードは、蛇足でしょう。無い方が良い。
最後の妻との別れは、いかんでしょう。
身分違いで結婚したとはいえ、そんなに簡単に・・・。あまりにも、彼の妻のわがまますぎる態度に、腹が立った。
資産があることは、不幸を招くこともあるのだろうか。