ちょス飯の読書日記

 『菩提樹の蔭』   ★★★☆☆
  

 著者の親友の娘のために書いた、大人むきの寓話。インドの厳しい身分制度が相思相愛のふたりを別れさせるのだが・・・。
 とても悲しい結末だった。

 親方は、純粋で才能のある弟子が身分が卑しいからと、娘の恋心を無視して引き離した。やがて、急死してしまう娘。
 親方が娘に似せた彫像を作ると、弟子は自分の命をこの像に分けるから息吹を吹き込んでほしいと神に祈る。
 望みを聞き入れた神は、彫像を娘とうりふたつの人間にする。
 しかし、彼女は過去の記憶を何ひとつ持っていない。
 ・・・・・
 「動く彫像を作った」と富と名声を手に入れた親方は、再び弟子と愛しあうようになった娘を、金持ちの商人に嫁がせてしまう。
 菩提樹の蔭で、恋人たちは既に交合しており、娘は父なし子を産み手放しているが・・・・
 
 命をかけた愛の美しさと哀しみ。

 漢字が多く、意味の分からない熟語が出てきて、読むのに難渋した。ロマン溢れるお話だが、最後には救いが欲しかった。