ちょス飯の読書日記

 『身辺怪記』  ★★★☆☆
 

身辺怪記

身辺怪記

 怪奇小説を書いているときの、身近に起きた人の死など、「怪奇」のエッセイは少しだけで、坂東の子供のころの思い出、故郷の人々、訪れた国々の紀行記などが極く短い字数で、非常に簡潔にまとめられている。

 坂東が、かなり変わった臭いに反応して陶然となっていたとは、面白かった。小学校の頃の、体育館の道具入れの部屋の、湿った埃の臭いに、性的な刺激を感じていたとは。可笑しい。

 土佐高校時代、ブスでおしゃれもせず、人とも交わらずがり勉でひとりぼっちだった彼女が、3年の学園祭で仕方なくお揃いの白いミニスカートを穿いて級友たちとロックのリズムに合わせて、踊ったという。

 苦悶の表情を想像した。