ちょス飯の読書日記

 『花の埋葬』

花の埋葬 24の夢想曲 (集英社文庫)

花の埋葬 24の夢想曲 (集英社文庫)

 表題作より、面白い章もたくさんあった。
 
 故郷に帰って来た30過ぎの女が、バスで幼なじみに会ったり、初恋と意識せぬままだった少年に出会うが、・・・・。
 
 彼らは既に亡くなっている。

 夢、心象風景を語った不思議な短編集。

 母親と娘が睦みあって、母の女陰に、花を見るというのは、誰にもなかなか書けない。

 死んでも、この世に現れるものたちを、坂東はよく書いている。生きているものが、勝手に思い描いて、彼らの声を聴こうとしているだけなのだが・・・。

 27日に坂東は、没後一年。
 まだまだ、彼女の遺したものを読み尽くしていない。彼女は、その中に生きている。