ちょス飯の読書日記

 『春話 岐れ道』 ★★★★☆

春話二十六夜 岐かれ路 (新潮文庫)

春話二十六夜 岐かれ路 (新潮文庫)

 春画の挿絵に圧倒される。なんという大きな男根であろうか。女陰も克明にでかでかと描かれている。

 面白かったのは、一つ一つの春画に、即興曲のような艶話が語られる。
 風呂屋の、不細工な釜炊き男が客の女のあかすりをしながら、欲情してしまう場面。江戸時代には、大らかな性の交歓が庶民にもあったのだろうか。

 宗教者が、性の喜びにおぼれてしまう場面を、坂東はよく描いている。性交歓楽至上主義を人間の本質としているのだろう。

 だが、合体している最中の男女でも、心も体も、合致して愛し合えるわけではない。そこが、切ない。