ちょス飯の読書日記

 『逢はなくもあやし』  ★★★☆☆

逢はなくもあやし (集英社文庫)

逢はなくもあやし (集英社文庫)

 
 同棲していた恋人が、旅に出て2ヶ月間も戻って来ない。奈良橿原の彼の実家へ行ってみると、既に亡くなっていた・・・。若い娘は、どう立ち直って行くのか・・・。

 持統天皇が先に亡くなった、天武天皇陵をずっと見続けていた。という。見ることは、愛するということ。

 坂東は、慣例を破り火葬を望んでそのとおり煙となって天に上った持統天皇に強く魅かれていたのだろう。

 晩年の『朱鳥の陵』で、それは結実した。

 愛する人を、ずっと待ち続け今も幽霊となっても待ち続けている男の話が、悲しかった。

 亡くなった恋人との結びつきは、そんなに深いものとも思えない。ただ女のアパートに宿代が払えないから転がり込んできた男、という設定が安易すぎるので、マイナス2☆