ちょス飯の読書日記
『百舌の叫ぶ夜』 ★★★☆☆
- 作者: 逢坂剛
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1986/02
- メディア: 単行本
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テレビドラマと原作小説の間には、20数年の隔たりがあるので、百舌の持っているはずのものが、写真からICチップに替えられていた。また、公安と国家権力の癒着批判のテーマはそのままに、ドラマには、「だるま」さんが出てきたが、原作にはそんな人はいない。
映像化されてから、原作を読むとどうしても倉木は西島秀行で大杉は香川照之になって、現れて来た。なるほど、適役であった。
百舌があまりにも過酷な、親による虐待を受けて育ったからか、幼い頃から小動物を殺し始め、どうしても人を殺さずにはいられない、怪物になっていく場面は、さらっと描かれすぎ。
ここは読者の妄想をたくましくしてほしい、ということかな。
凄惨な殺人を、どんどん犯して、愛する兄の恨みをはらす百舌がアンチヒーローとして、かっこいい。
大物の、卑怯さが暴かれ、政治家が国家間のテロを請け負い、警察国家にして、さらに利権を得ようとする裏話は、実際にありそうで怖い。