伯母の変貌

 歩けなくなった今年88才になる伯母。
お肌がすべすべでつややかだ。観音菩薩のようなにこにこの表情。

 思えば意地悪な、思ったことをそのまま人にいう、毒づく人だった。怠け者の夫の替わりに飯場で働いて、5人の子を一生懸命食べさせて来た。嫁にも辛く当たった。

 嫁に子が出来ぬので、これも悔しかった。だが、調べたら彼女の息子に子種が無いのだった。

 結局息子夫婦が養子をもらたのだが、この孫を育てる頃から彼女は、少しずつ変わってきたのだろうか。

 いや、自分が歩けなくなって嫁に介護してもらわねばならなくなってからだろう。

 下の世話をしてくれる嫁。しかも、喜んで。

 ふたりは、知らぬ間に仲良くなり笑い合っている。頼りにされて誉められて、嫁は心から姑を可愛がっている。
 嫁は息子より、義母の方をより愛しているかのようだ。

 伯母に、財産は無い。新しい家を建てたがそのローンも、嫁が3件もパートを掛け持ちして払い続けてくれている。
 
 幸せすぎる叔母は、115才まで生きる、と言うのが口癖だ。