父の納骨

 父は故郷を離れて、町に来て大儲けしたがいつも故郷を思っている人だった。晩年も、父は故郷の実家で養生しておいしい山菜などを食べさせてもらってご満悦だったそうだ。

 どうしても彼の遺骨のほんの一部でも、ふるさとの山に埋めてやりたかった。

 母は父の実家を非常に憎んでいるので、こっそり骨壷から父の遺骨を失敬してこの6年間、chosu-manmaは、自宅に置いていた。

 町のお寺の納骨堂に、この3月父の遺骨は入ったのだが、おっとどっこい、密かにchisu-manmaはこの日を待っていた。

 父の生まれ故郷へ小さな小さなインド土産の宝石入れに、父を還しに行って来た。


 父の実家の人々は、父の遺骨に涙して歓迎してくれた。伯母は震える手で、小さな骨の欠片を愛おしそうに抱きしめてくれた。

 故郷の面々はお祭りのように、ホウバ寿司を大量に作り待っていてくれた。

 翌日、地元の神社や博物館見学に行き、お墓参りとプチ納骨式をした。

 父よ、母の懐に抱かれて眠れ。