ちょス飯の読書日記

 『驚きの介護民俗学』  ★★★★☆

驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)

驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)

 老人介護の現場で、認知症になって死に行く人の過去の物語を、民俗学者であった介護士が聴く。
 これは、とても興味深い話。

 それぞれの名も無き人々の貧しかった子ども時代や戦中、戦後の暮らし、歴史書には載らない庶民の文化や様子、風俗が記されていく。

 とくに、蚕の雌雄判別士という仕事があり、女性の判別士が村々を回って増産に貢献したこと、しょんべん菓子の話に驚いた。

 医療現場の人のための本かもしれないが、高齢になれば誰でも記憶は薄れていくものだ。
 筆者の指摘どおり、自分はどんな子ども時代を生きてきたのか、そして今に至るのか書き留めると良い。

 認知症の人の言葉に意味があり、聞き取れるうちにその宝を受け取り、伝えていかねば・・・・。

 排泄ケアがうまくいくことに喜びを感じる、という記述に感動した。他人の父母の糞尿にまみれた尻を、介護者は心を込めて拭いてくれている。

 このような尊い仕事は、良い労働環境を整え、高い賃金で雇われるべきだ。そして、皆から尊敬されるべきだ。

 もっと、詳しくひとりひとりの人生について知りたかったので、マイナス1★