ややっ!!

 ある日最終齢まで育った、アゲハの幼虫が夏蜜柑の木からいなくなる。きっと、蛹になるための一番気に入った場所を探すために、ずりずりと木を降りたのだ。これは、驚くほど速い動きだ。
 いなくなってしまって、ほっとするが今度は、無事に蛹になれただろうか。スズメに食べられたのではないか、狩蜂にさらわれたのでは、と心配になってくる。
 だが、数日経つとすっかり彼らのことを忘れていた。

 やややっ。

 昨日、木の裏側を見てびっくり仰天。三つも蛹の殻がある。ひとつは、飛び立ったアゲハを確認できていたが・・・。少なくとも、この夏3匹は無事に羽化していたことがわかった。心配して損したよ。
 殻を見せてくれてありがとう。皆、生きていたんだ。

 寄生されて死んでしまった、君達の姉さんは今日、夏蜜柑の木の根元に埋めるよ。蛹の糸を切るのがかわいそうで、そのままだったけど・・・死んでいても、もしかしたらまた、蜜柑の木の中に栄養素となって取り込まれて、彼女はよみがえり、生きられるのかもしれない。美味しい葉っぱを繁らせて、君達の子供達を育てるエネルギーとなる。
 他者の死に無関心な新しい命が・・・・蛹の骸の下に、幼虫がまったりしていた。