ちょス飯の読書日記
『下流の宴』 ★★★☆☆
- 作者: 林真理子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2010/03/25
- メディア: 単行本
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オンラインゲームで知り合ったブスな年上女性のアパートに転がり込む。そして、正式に結婚したいと言う。
母親の落胆に共感。
無気力な若者の気質を、よく描いている。が、先が読めてしまう展開。わが家も下流だ。
何故努力したくないし、金持ちにならなくても良いという若者が、日本にこんなに増えたのだろう。
一方、美貌を武器に玉の輿に乗ることだけを目標にしていた娘は着々と男を探し求め、妊娠により結婚にこぎつける。
金持ちしかいない街白金の広いマンションに住み、豪華な暮らしを始めるが・・・夢がかなったと思ったのは一瞬だけで、長くは続かない。
医者のこどもは、一般のこどもより地位が高いというキーワード。成程そうだろう。
しかし、医者にもヒエラルキーがある。差別する人はどこまでも自他を差別して満足したり、思い悩んだりするのだろう。
貧乏な家出身でも、白い巨塔の財前のような医者になる人たちもいる。
作中、合コンの場面がよく出てくるが、「東大出」が多すぎる。東大を出ていると本人が、ひけらかす時点で紳士ではない。
学歴、家柄を知った上で付き合いたいのなら、お見合い会社できちんとお見合いして、結婚相手を探すのが本筋。
合コンは、その日のうちに素人同士でおま○こ出きるからという目的で集まるものでしょう。はしたない。
若者の、現実を取材して書かれているのか疑問。
沖縄出身者への差別も、ある。貧乏人に対する中流のものの偏見。中卒、高卒者への偏見。ごく普通の日本人の感覚だろう。
最後に、息子の恋人たまちゃんが「勉強の楽しさ」「頑張って酬われる」ことを体現するところは良かったので、★3つ。
桐野 夏生の『グロテスク』の方が断然、面白い。お嬢様学校での、貧しくて努力家の家庭出身の子への差別についての書き方が秀逸だった。