死ににくる

 わが家の小さな小さなベランダ庭園に、虫が死に来るのだろうか。
 足の1本欠けた小さな、クワガタムシの雄がプランターの土の上に腹を向けて転がっていた。5日くらい前だったか。

 ここまで、飛んできて絶命したのだろうか。合掌。

 また、3日前大きなスズメ蛾が、手すりのすぐ手前で片ハネをべったり、床面にくっつけて事切れていた。 合掌。

 空からここが見えたのかい。
 少しでも、草木のある土のあるところで、死にたかったのだろうか。 偶然なのか。他の部屋の人の所でも、虫は飛んできて死んでいるのだろうか。いや、やはり「ここで」死のうと飛んできたのだと思う。
 小さな小さな森には、極々小さな命がまた、生まれるだろう。