ちょス飯の読書日記
『abさんご』 ★★★☆☆
- 作者: 黒田夏子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/01/22
- メディア: ハードカバー
- 購入: 9人 クリック: 912回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
abさんごは、難解でわかる人にはわかるのだろう。文芸版「ちびまるこちゃん」という感じ。
幼子であっても、大人より鋭利に物事をわかっており、その記憶を大人になっても持っている。彼女の思い出なのだろうか。
タミエの話は、どれも重々しく暗い。学校をサボって野山の花を観察したり、木の実を昼食にして遊んでいる様子は可愛らしかった。
植物学者のような若者が、タミエの勝手に付けた花の名前を、いちいちノートに書き付ける。タミエは、花の本当の名、学名に反発する。
「タミエの花」は、本当にシャガだったのだろうか。小さい子の、喜び怒り、繊細な心の揺れ、狡さなど、細やかな描写が美しい。
「虹」はちょっと悲しい怖い幕切れだ。サイコ映画のよう。