ちょス飯の映画評

 『ヤギと男と男と壁と』★★★★☆
 超能力を真面目に戦力として、アメリカ軍が研究しているという。実話に近い、と映画の冒頭に出るが・・・。
 確かに、戦争に勝つには闘わずして勝つこと。相手も自分も傷つかないこと。きらりと光る目力で相手を、幸せにさせ、戦闘意欲を失くさせられたら・・・・。
 私も、研究してみたいものだ。

 ヤギが、犬より殺しやすいからと傷つけられたり、核実験の犠牲にされたりしているのは、恐らく本当だろう。家畜として飼われ、毛も皮も乳も肉も、人の役に立つ動物。雑草で育つから、牛よりずっと経済的にも地球環境的にも有用な動物だとされるが・・・
 その間の抜けたおっとりした表情が、悲しい。ヤギを実験で殺したことに、ずっと後悔し苦しんでいるリン。
 こういう人は、実はいる。

 切り口が奇天烈な反戦映画なのだ。

 戦争のあほらしさ。
 商人が儲けられるチャンスだと戦地に向かう場面。
 アメリカの警備員同士で、意味もなく撃ち会いになる場面。

 最後に、砂漠の中の捕虜とヤギが解放されるところは、嬉しかった。が、果たしてリンには、千里眼の能力が本当にあったのだろうか。最後にビルは、超能力の話は、嘘っぱちだと言ったが・・・。
 
 日本も『アキラ』のなかで、特殊応力のある子どもを集めて、人間兵器にしようとしていた。

 私は超能力者は、実際にいると思う。彼らは、自分の能力を必ず、平和のために使いたいと思っていることだろう。敵をやっつけるためではない。
 皆が、脱力すれば戦争は起きないのだろうか。人命を自分の欲望を満たすために使える人が、戦争を作る。