めおとカフェ

 久しぶりに、20年前まで住んでいた社宅の前にある、お洒落で小さなカフェへ夫婦で行く。
 chosu-manmaは、図書館で200人待ちしていた漫画『テルマエ・ロマエ』①を受け取り。
chosu-pampaは駅前駐輪場へ、賃貸料を支払い。
 
 chosu-manmaは、バリシンザンコーヒーとクレームブリュレ、chosu-pampaはオリジナルブレンドのマイルドコーヒーとココアバターケーキにアイスクリームを添えたもの。合計1600円也を注文。ゆっくり、味わった。
 二、三か月に一度の贅沢だが、楽しいひと時だった。

 ふたりの結婚記念日が近づいて来た。
 披露宴のときの話をする。chosu-manma側の親戚の面々は、皆ユニークで自分の言葉で祝辞をくれ、歌もたくさん歌ってくれたが、chosu-pampaの親戚側は、本に書いてあるとおりの言葉を、棒読み。銭湯経営の叔父さんがひとり、大漁舟の歌を歌ったのみ。皆固い仕事をしており、社会的地位も高い面々だ。

 だが、人の心に沁みこむのは、その人のその人だけの言葉。とつとつと、言い淀んだとしてもchosu-manmaの伯父は、彼だけの言葉で祝ってくれた。いつまでも忘れられない。
 chosu-pampaの当時の上司Iは、その場で挨拶を頼まれたそうだ。なんと先日ある人の送別会でIさんと同席し、chosu-pampaは「あの時は焦ったよ」と告白されたという。26年ぶりの真実!あれは、アドリブ。とっさの言葉だったのか。
 chosu-pampaは、仕事は遅いが丁寧で熱心。皆から信頼されている、と彼は口下手丸出しで、紹介してくれたっけ。

 宴の最後に登場したchosu-manma方の叔父は、万歳の音頭を取ってくれた。彼は、仕切り家なのですぐには、発声しない。長々、私たちを激励した上で「ぶわんざあい!!!」と言った。
 あの声は、結婚27年目になろうとしている今も、自動再生される。叔父は非業の急死を遂げたが、生きている声が今も聴こえる。
 
 chosu-pampaにも、聴こえるそうだが彼の記憶は、妻より薄い。