ちょス飯の読書日記
『わたしの渡世日記』 ★★★★☆
- 作者: 高峰秀子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/12/24
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高峰 秀子がとても上手な文章を書く人だと、以前から聞いてはいたが彼女の本を読むのはこれが初めて。
驚いた。彼女は知性と美貌の持ち主。天才子役といわれ、大人になるまできらびやかな芸能界でずっと売れっ子でいたし、何不自由なく、女優人生を送った人だと思っていたから。
それは、表層のこと。
大変な思いをして、女優をしてきたのが、これを読んでわかった。小学校へも、ほとんど行けない中で独学でここまでいきいきと描ける、力。
身内が、彼女のギャラを搾取してしまう環境。
とくに、養母が小さい頃は優しくしてくれるのだが、独り立ちを許さず恋愛も禁じ、彼女を経済的にも精神的にも迫害する。これは、本当のことなのだ。なんと、穏やかで優しい母性を演じる彼女が、母の愛を得られず育った人だったとは。
事実は小説より奇なり。
私も、同じような育ち。励まされた。母性は日本の芝居では、美しいものとして描かれるが、逆に子どもを苦しめる母も少なくないから、理想として描かれているのかもしれない。
そして、そんな母に感謝したい。自分が、彼女に鍛えられてここまでこられたのだという、箇所はまったく私も同じ。
もう少し、もっと読みたくなってマイナス一☆。