ちょス飯の読書日記
『長い長い殺人』★★★★☆
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1997/05
- メディア: 新書
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確かに後の大ベストストセラー『模倣犯』を彷彿とさせる。
快楽、劇場型、不条理な殺人。目立ちたいから、事件を起し人を殺してもかまわないとは。これは、小説の上だけのことでは、なくなった。
事件が先で、宮部がこれを構築したのか、彼女の予想(妄想)の世界が現実になってしまったのか。
本当に恐ろしい。「自分は特別なのに、馬鹿ばっかりの世の中が悪い」という、独りよがりの犯人の思考。
それぞれの章が「誰誰の財布」という。財布が物語る、変わった犯罪小説。でも、早苗(被疑者の再婚相手)が、あっさり殺されるのは、悲しかった。「ため」が無く、ぽんぽん進み過ぎ。
早苗のことを愛して、心配していた小さな甥の悲しみが、切なかった。