ちょス飯の読書日記

 『スナーク狩り』

スナーク狩り (光文社文庫プレミアム)

スナーク狩り (光文社文庫プレミアム)

 ★★★☆☆
 テレビでドラマ化されたので、原作を読んだ。
 まだ、携帯電話が普及していなかったころの、良心を持たない犯人(スナーク)を 懲らしめようとする被害者の元夫であり父である中年男。柄本明が、好演したが・・・『悪人』の父親とかぶってしまった。

 恋人に捨てられた女の猟銃を奪い、「犯人たちが反省しているか」突きつけてみようと男は、金沢へ向かうが・・・
 途中乗せてもらった車の親子との交流。かんもく児が、「おじさん」と声を上げる場面は、良かった。

 宮部作品に出てくる、人の心に住む怪物と、怪物になってしまった人と。許されざる犯罪が、現実の世界で起きている。
 作者の加害者への怒りと被害者への温かい眼。励まし、いたわりを感じる。が、さすがに、初期の作品らしく、ぎこちない運びだ。