雨の中、オニゲシ咲く

さっちゃんの昨夏の旅は、北海道。テーマは花のガーデン。その土産で頂いた、数種類の混合草花の種を撒いたら、この冬の寒さに耐えて、まず紅花亜麻が咲き、今日雨が降っているのに、鬼芥子の大きな花が咲いた。
 どちらも、鮮やかな真紅。
 彼女は、地味な色を好む。野暮ったいファッションしかしない。
 だから、こんな派手な花が咲く種をくれるとは、思わなかった。彼女も、この強烈な色にきっと驚くだろう。
 北の大地には、こんな花も咲くのだ。

 さっちゃんには、18才になる息子がいた。生後7ヶ月で、突然彼は死んだ。だが、彼女の胸の中に、今も彼は生きていてよくふたりで話しているそうだ。彼女は、一人旅によく行く。もちろん、18才になった息子も連れて。