ちょス飯の読書日記

 『純平、考え直せ』 ★★★★☆

純平、考え直せ

純平、考え直せ

 これは、面白い。やくざ見習いの純平が、鉄砲玉となるまで、とくに最後の3日間を活写している。『仁義なき戦い』のパロディともいえる。
 純平役を、松田翔太で映画化されるのではないかな。
 世相を反映し、匿名若者の、無責任かつ熱い、本音ネット掲示板の書き込みがおかしい。

 母に愛されず、誰にも頼らず暴力だけを武器に生きてきた純平が、皆から「鉄砲玉をやるな」「考え直せ」と言われて自分が愛されていることに気づく件は、この筆者独得の優しさ、善なるものとしての人間讃歌だと思う。

 滑稽でもの悲しい人間。
 
 桐野夏生氏の、同様のヤクザの下っ端を描いた短編があったが、あれも滑稽だった。関東ヤクザでも広島弁を使ったり、菅原文太のモノマネをしたり、・・・映画の中の世界を本当のことだと、本職が信じている。