ちょス飯の読書日記

 『王国』 ★★★☆☆

王国

王国

 これも怖い。スリルとサスペンス。
 現代の娼婦の物語。だが、・・・・マゾがサドを支配するとは。
やや、『1Q84』の青豆に似ているユリカが、男を翻弄して金を稼ぐところは小気味良い。
 けれど、暗転。
 『掏摸』に出てきたような、得体の知れない巨悪の木崎が、小悪の矢田が、彼女の命を狙う。

 木崎は、何故か博学でキリストとソクラテスを引き「神」の批判をする。・・・・そして、神は悲喜こもごもの人間劇場を見て楽しんでいるという。木崎の視点は、神のものというより、作者のものなのでは。

 怖い小説だ。
『掏摸』が、あまりにも面白かったので、比べてしまうとこれはちょっと小粒な作品。