chosu飯の映画評 『ブレードランナー』
『ブレードランナー』★★★☆☆
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2008/12/10
- メディア: DVD
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2018年のロサンゼルス。後7年の世界。30年前にリドリー・スコットが思い描いた未来の姿。ピラミッドのような巨大高層ビルの下には、『ブラックレイン』と同じような、アジアの猥雑な屋台食堂、ごちゃごちゃゴミゴミの裏町、様々な民族衣装の人人人。土砂降りの雨。
「地球に住むものは、病弱だから?」というセリフ。なるほど。元気なものしか宇宙に行けず、汚染まみれの街を歩くしかないのだ。
非常に陰惨で、恐ろしい暴力シーン。暗い映像。
人間が人間に似せて作ったものから、人間とは何かを突きつけられる。よく描かれるテーマ。人間の非人間性の暴露が、胸ふさがせる。手塚治虫氏が、『火の鳥』のなかでヒトとロボットの恋愛を描いている。レプリカントのレイチェルの美しさ、その衣装と髪型、化粧のクラッシックで美しいこと!!ブレードランナー(レプリハンター)が、恋に落ちるのも無理はない。
人工知能、人型ロボットは作るべきではない。まして、奴隷として扱うヒトの形をしたものなんて。
レプリカントが、自我を持ち、感情を覚え、愛する人の延命を願う。
レプリカントから人間に伝えたいことがあったのだ。「奴隷は、恐怖の連続の中を生き、人間の見たことのない情景を見ている。」
ブレードランナーとの闘いに勝ったあと、彼の命を救うレプリカント。白い鳩が、寿命の尽きたレプリカントの手の中から、飛び立った。彼は、涙を流して死ぬ。悲しくて、美しかった。