chosu飯の読書日記 『いっちばん』

 『いっちばん』★★★☆☆ 

いっちばん しゃばけシリーズ 7

いっちばん しゃばけシリーズ 7

 病弱な若旦那が、妖たちと難事件や友人たちのお悩みを解決していく短編集。『しゃばけ』を読んだときの鮮烈さがない。マンネリ。が「餡子は甘いか」の章は、とても良い。
 山本周五郎の小説に、不器用な職人の話が出てくる。寺内小春のドラマにも。確か小林薫演じる頑固な寿司職人が、器用にすぐできるやつより、不器用で時間をかけて努力し続けるやつの方が、いい仕事をするようになる。
 「ため」「助走」「繰り返し」「時間をかける」よい言葉だ。

 菓子作り修行をやめる、とさんざん泣いた若旦那のただひとりの友栄吉。そのとき何も言わず、泣き止むまで、じっとだまっていた若旦那。だまって寄り添うことが、結局友への一番の励ましとなった。