私の小さなこだわり

今週のお題「私の小さなこだわり」
 それは、教え子Мちゃんの誕生日にお祝いのカードを送る事。
彼女が私の教え子になったときからなので、もう三十年近く続けています。小さな贈り物もしていましたが、彼女の母親から物のやり取りは無しにしましょう、と言っていただけたので、ここ数年はカードのみ、一年に一度丁度その日に届くように、出し続けています。

 Мちゃんの家庭教師になったのは、私が大学は出たものの「持病がある人はお断り」、とすべての就職試験に落ちて意気消沈していたとき。
 ある小学校の先生から小学三年生の子に、エレクトーンを教えてほしい、とМちゃんを紹介されました。知的障害のあるお嬢さんで、発音もあまりうまくできないのでいじめられているとのことでした。
 そういえば、初めてМちゃん宅を訪れたのは、桜の散り始める、今頃の季節だったかもしれません。

 その日から、私たちはすぐに仲良くなりました。エレクトーンの指導もしたけれど、彼女は歌うことが大好きだと分かったので、私が即興で適当に伴奏を弾いて、ふたりで大声で歌いました。そして、げらげらと笑いました。「くーちをおおきくあーけまして、うたってごらんあいあいあーい・・・」

 私のただひとりの生徒。

 もう、Мちゃんは、こどもではありません。

 でも毎年鉛筆で、Мちゃんは一字一字しっかりと、書いてお礼の手紙をくれます。