ちょス飯の読書日記
村上 由佳著 『ダブル・ファンタジー』 ★★★★☆
- 作者: 村山由佳,久留幸子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/01/08
- メディア: 単行本
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中堅脚本家の女性奈津が、性欲が弱い主夫をしている夫に管理、支配されてきたことに気付く。
幼い頃に自慰行為を激しく咎められ、厳しく躾けられ、未だに母を怖いと思う奈津。
夫にも、無意識のうちに忍従すべきものとして暮らしてきたが、自分の仕事には自信があり、彼に口出しされることを拒むべきだと、やっとやっと思い至る。別居後、堂々と恋愛して愛する男と「つながりたい」、性欲を満たしたいと行動し始める。
だんだん過激な性行為描写になり、奈津の相手も何故か、ますます技巧者になっていく。
芝居屋の狼先生、デリバリー、大学のキリン先輩、坊主、七才年下の売り出し中の役者。
週刊誌連載だからなのか、ちょっと早く寝すぎると思う。そこはマイナス1★
主人公がとても魅力的で美しい女だという、記述はない。「ものほしそう」な女に見えるのか。男がそれをキャッチするのだろうか。
最後に、心から彼女を尊敬し体を誰より上手に悦ばせ愛してくれる役者の卵に出会うが・・・
心身の満足の状態に至って、彼とはなびを見に行き・・・・・・
『ああ、
なんて、さびしい。
どこまでも自由であるとは、こんなにもさびしいこ とだったのかーー。』
と終わる。
人物描写、文章表現が読みやすく巧い。
別居中の夫省吾は、頑なで世間との交流も無い。自家菜園で自給自足の生活を送り、犬と鶏と一緒に妻の帰りを待っている。親代わりに育ててくれた伯父とも、妻を守るために断絶。
その伯父が急死しても、彼女のことだけを思い続けている。
彼女の話をいつも聞きたがり、肯定し励まし支えてくれる編集者の杏子は、とても素敵。
女性が性欲を満たそうとする、これを主題とするなんて、すごい!女性性欲讃歌!
題名のダブルは、ウーマンのダブルかな?ファンタジーは・・・。主婦の冒険願望という意味かな?
レノンとヨーコの楽曲の違いを奈津が感じている場面があったから『男と女』の違い、それを融合させるのが肉体の交わりということか。
交わっても違いはそのまま。「さびしい」ままだ。