ちょス飯の読書日記

 村木 嵐 『マルガリータ』  ★★★★★
   ネタばれ注意
 若桑みどりの『クアトロ・ラガッツイ』の最後に、千々石ミゲルだけが、棄教したとあったが・・・・その謎を、筆者が解いた。フィクションだろうが、どこまでが筆者の想像なのか、あるいは史実以外はすべて創作なのか分からぬが、まったく腑に落ちた。
 号泣した。
 新しい視点を得た。
 切支丹になった人々を殉教をさせてはならぬ、というミゲルたちの信仰がある一方で、野蛮な日の本の国の信者が殉教するのを、望んで喜んでいるかのような南蛮人もいた。

 「珠こそが天主の言葉など聞きもせぬ、ただひたすら働いておる、なによりも尊いではないか」「今のこの国ではマリアではならぬ。皆、マルタにならねばならぬのだ。」とじゅりあんは、処刑される寸前に「棄教の説得」に来た珠に教えた。

 たま(ミゲルの妻=珠)と伊奈姫と南蛮、たまがミゲルに渡したお守りの真珠・・・・。どれが「マルガリータ」なのだろうか?
 正解は、南蛮で過ごした美しい日々とのことだと珠は断じたが、私には珠、たまその人、ミゲルの愛妻のことだと思える。

 一途にただただ、ミゲルを愛して仕え、命がけで救った。珠の姿こそ。

 これは、千々石ミゲルの妻の物語。