chosu-manmaの映画評

 『アラビアのロレンス』  ★★★★☆
 ものすごい砂漠の広々とした風景と駱駝たちに圧倒された。戦闘シーンや、駱駝で何日もかけて砂漠を渡る苦しさ、灼熱の太陽、砂漠の夜明け、日の暮れのアンバーの色、大勢のアラブ人が駱駝や馬にまたがり銀幕一杯に小さく写るところ。遠景。雄大なこの、広さはどうだ!
 
 私は、最前列の真ん中の席で見上げて画面を見ていたので、砂漠の砂を被った気分。
 物語は実話に基づいているので、英雄譚ではない。人間ロレンスの苦悩、哀しみ、弱いところも描いていた。
 
 アラブ人の「アリ」がカッコよかった。鉄の肺の役で『道』に出てきたアンソニー・クインが大盗賊の頭役で出ていて、本当にぴったりはまり役なので驚いた。とても演じているように見えぬ。

 ヨーロッパ列強による、アフリカの植民地支配の歴史の一こま。アラブや砂漠、砂漠の人々の文化を愛する人も支配者側の軍隊の中にもいたに違いない。アラブ人は、人として扱ってはならないという中にあっても。

 結局召使として雇ったアラブ人の子ども達をふたりとも死なせる事になったロレンス。彼らの幸せを願って連れていたのに。辛い。象徴的に支配者の奢りを描いたのだろうか。そして、政治家の二枚、三枚舌外交。このときのひずみが、今も続いているのだ。

部族間の仲が悪く、砂漠の井戸水を他部族のものは飲んではならぬという掟があるようだったが、本当のことかな?調べてみたい。飲んだものは射殺して良しということだったが・・・・チュニジア人の友人に尋ねてみよう。チュニジアへ行ってみたい。