ちょス飯の読書日記

 『ガール』 ★★★★☆
  

ガール (講談社文庫)

ガール (講談社文庫)

 奥田英朗の女生観。どのお話もややワンパターン。強い30代半ば過ぎの一流企業に勤めるOL達のぼやき節短編集だ。みなハッピーエンドで、くすりと笑える。
 とくに、表題作『ガール』に登場するお光(38才独身キャリアウーマン)は良かった。いつまでたっても、十代より派手な格好を好み、イケ面に甘える。いつまでたっても「女の子」。

 街に出ると、かなりのお年ながら、どえらい派手な化粧に髪型でヤンキーの10代より若々しいコスプレをしている女性を見かけることがある。ケッタイである。そして、見苦しいとも言うが、尊敬にも値する。いつまでも、彼女の中の「心の少女」のままでいたいのだなあ。
 そういえば男は、あまりそういうことはしない。

 『一回り』もとてもおかしかった。『マドンナ』の女性版で、対になっているのかな。十二歳も年下のイケ面の部下を、誰にも渡したくないと思う独身女性上司。焦る描写が滑稽で、哀愁も漂う。しかし、共感できる。