ちょス飯の読書日記 

 『ヘヴン』川上未映子 ★★★☆☆ ネタバレ注意

ヘヴン

ヘヴン

 人気、評判の高い話題の作品を、何百人目かにやっと図書館で借りられた。
 うーん。
突き刺さる言葉の数々。
ひとつひとつは、全て真実。
でも、悲しい。
ひどすぎる、いじめの場面の数々・・・・。
取材に基づくのだろうか、いろいろな事件をモデルにしたのか・・・。

 辛い。読むのが辛かった。


  しかし、文学作品にいじめの問題が昨今よく描かれているが・・・。作者なりの分析、対応、解決策なのか。

 人間の生まれつきの不平等。「したいからする」「何故仕返しをしないのか」・・・・
救いは描かれているが・・・・

 いじめられる意味をコジマは、見つけたが、私には加害者に「いじめ」を増幅させ永続させるのは、加害者に不都合でありマイナスなこと。いじめられて対策を立てないで、ますます犯罪を助長させてしまう。意味は「気晴らし」「追従」だけ。する側に意味があっても、受けては、拒否するべきだ。我慢してはならない。

 「僕」の実父はどんな人か描かれていないが。絶対にいじめを知られたくない人だと。
 コジマは、「母が最期まで父を可哀相な人だと思い続けなかったことを許せない」、と言う。働きづめに働いても貧しさから抜けられぬ父を見捨て、小金持ちの男と再婚した母を憎むが。自分を不潔にして母に抗議しているのか。それを見咎めていじめられているのに、信念を変えないコジマ。これは、ちょっと考えられない設定だ。
 
 いじめられても、学校に行き続ける、これも現実には良くあることだが・・・。


 何才でも、いじめは犯罪だ。監視が必要だ。処罰も。暴力を受け続ける子の心理が克明に描かれていたが・・・。震撼とする。

 いじめられ続けるていても。教師、親、周りの大人に一切知られたくない、訴えたくない見つかりたくないというのは・・・。川上氏の見解が「僕」を通じて語られるが、よく分らない。

 結局、いじめの事実が発覚し、「僕」が今まだ見たことのなかった景色に感動する。いつも通る並木道が、初めて「見える」のだ。

 犯罪被害者が、犯罪を止めさせるには、被害者側の努力によってできるのか。

 とても、共感できない。