chosu-manmaの映画評

 『飢餓海峡』★★★★★

飢餓海峡 [DVD]

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 昭和39年の作。物語は22年から32年に飛ぶが、その頃の懐かしい風景、とくに汽車、電車、バスが素晴らしい。津軽海峡の海が美しい。白黒画面だが陰影の美しい絵のようなカメラワーク。
 渾身の演技の三国連太郎と可憐で薄幸な娼婦左幸子。『罪と罰』のソーニャのような純真な心。体を売っても、ただ一夜の客のことを思い続けて十年後に会いに行くのだが・・・。

 最後の場面は、賛否両論あるが・・・。私は、主人公が「自分の言うことを誰も信じてくれぬ、人を最後まで信じられなかった。」ということだと感じる。

 貧困。飢餓。本当に思いテーマだ。