ちょス飯読書日記

 ノワール小説を読んだ。テレビ化されたがこちらは観ていないので、たまたま図書館の返却棚にあったのを見つけて読んでみた。
 東野圭吾の『白夜行

白夜行 (集英社文庫)

白夜行 (集英社文庫)

★★☆☆☆
悪役側のことは、一切心理描写がない。東野の作品は『容疑者Xの殺人』『手紙』『秘密』『放課後』『ゲームの名は誘拐』を読んだが、状況を想像できない描写で、要点だけ述べているような推理小説家だと思う。『白夜行』は、読み出したら止まらず、つい最後まで読んでしまったが・・・・。
 もう少し、溜めとか無駄な場面、遊びの場面も必要だ。最後のドンデン返しは、良かった。
 悪女は、いる。
 そして、彼女のためなら何だってやる僕(しもべ)も。
映画『疑惑』や『黒い家』を思い出す。良心のない人。平気で嘘をつく人、周りにいる人は、全部自分が幸せになるために利用するためだけに存在する者。
 物語が今から40年位前から、20数年前までの設定なので、当時の世相を反映して、キャッシュカード、ファミコン、フロッピー、マリオの海賊版、電話盗聴などのキーワードが懐かしい。その作品の発表後に実際に起きている事件を、予告して見せており、東野氏が「理系」作家なればこそのトリック、犯罪設定である。有望会社の研究開発の情報を、その会社のコンピューターに侵入して得、株のインサイダー取引する手口など、彼の面目躍如といえる。