chosu-manmaの読書日記

 久しぶりに少し前の流行りの本を二冊読了。(図書館で順番待ちで読むため)どちらも今一歩の出来。

 表紙の絵がおま○この陰毛丸出しに描かれているので、カバーをかけないで持ち歩くとちょっぴり恥ずかしい桐野夏生『女神記』Joshinki

女神記 (新・世界の神話)

女神記 (新・世界の神話)

マンガ家もそうだが、大家になるとだんだん古典や神話ものを書きたくなるものなのか。
 古事記を基にしたイザナミ(女神)とイザナキ(男神)の物語を生前は海蛇島の夜の巫女だったナミマが語る。自分の産んだ火の神に火傷を負わされ絶命したイザナミ。愛妻を亡くした悲しみに我を忘れ、黄泉の国まで会いに来て朽ち果てていく愛妻の醜い肉体を「見てはならぬ」と言われたのに見てしまうイザナキ。
 産む側の性で平和主義のはずの女が、夫が愛して孕ませた妻たちを毎日千人縊り殺し、夫は千五百人の子を美しい女たちに産ませているという神話。女は強い。恐ろしい。怨念の炎は憎い相手が死んでも決して消えぬ。あなおそろしや。
 
 少し前、ヤノマミ族の考える死後の世界は、天上界へ行き動物に生まれ変わりヤノマミの食料となり、また天上界へ行き、やがて最後に男は蟻、女はダニになって死ぬ。とNHKスペシャルでやっていた。ナミマもどうしても夫に会いたくて黄泉の国からスズメバチに変身して海蛇島を目指す場面がある。神話の世界では、神がとても人間臭く感情も激しく描かれ、人間はいろいろなものに変身できる。まるでSFだ。まだ読んだことがない『古事記』の現代語訳を早速読んでみたくなった。

 五十嵐貴久『誘拐』

誘拐

誘拐

 題材は時宜に適うが、やや甘い。設定に無理がある。緊迫感に欠ける。原作のアイデアは良いが・・・・。筆力が低い。もっとはらはらどきどき、スリルとサスペンスを与える描き方をしてほしかった。