ちょス飯の読書日記

 『双亡亭壊すべし』 ①から⑥巻

  ★★★★☆
 単行本で読むと、老眼の身には読みにくい。小さなルビは見えないし、藤田先生独特のこみこみの背景描写が、わずらわしい。

 しかし、やっと双亡亭という古い大きな屋敷の謎が明かされてきた。ここは、なんとしても破壊しなければならない。大勢の人がこの家に喰われてしまった。
 しかし、ここはただの人喰い屋敷ではなかった。45年前の飛行機事故から生還した少年青一は、これを壊すために戻ってきたのだ。ドリルに変身できる手を持って。

 『うしおととら』では、妖怪を『からくりサーカス』では自動人形(オートマータ)を敵として主人公が闘うのだが、今回は遂に宇宙人が相手だ。
 (前作『月光条例』も月世界人が相手だったが)

 今後の展開が楽しみになった。
 
 主人公タコハは、かっこ悪い売れない画家。しかし、ひとを思いやる優しさといざというときの勇気、機転が素晴らしい。
 それにしても、見たことのない画面。恐ろしい描写に圧倒された。登場人物ひとりひとりに、悲しい過去があり、心に傷を抱えている。人の体が分割されていき、そこを、隙間として敵はヒルのような形で人の体に入り込み、魂を抜いてしまう。すごい想像力!

 まだ、敵の宇宙生命体の名前が決まっていない。相手に名をつけてほしい。

 美しい超能力者が、今自分を犠牲にしてまで液体窒素のボンベを念動力で闘いの現場へ運んだところで、⑥巻が終わった。⑦巻が待ち遠しい。