ちょス飯の読書日記

 『コンタクト』上・下  ★★★☆☆

コンタクト〈上〉 (新潮文庫)

コンタクト〈上〉 (新潮文庫)

コンタクト〈下〉 (新潮文庫)

コンタクト〈下〉 (新潮文庫)

 映画を見て、原作を読みたくなった。
 すると、映画のほうがずっとわかりやすくて面白いことがわかった。
 作者は天文学者カール・セーガン。彼自身初の小説だという。専門的な学術用語や、法則の名前がたくさん出てきて、注がほしかった。

 映画はかなり脚色されていた。主人公エリーは、実証できないものを信じるわけにはいかない、と神の存在を認めなかったが、「神を信じないものは、地球人の代表とするわけにはいかない」という展開が日本人である私には、不思議だった。

 物語のなかに、日本人の実業家「山岸」が出てきたり、宇宙船の建設を北海道でやったり、七夕まつりが描かれていて、セーガンは、親日家だったらしい。

 映画では描かれなかった、エリーとともに宇宙船に乗り込む4人の学者たちのエピソードが良かった。
 とくに、中国人の学者西が、文革などでかなり悲惨な目に遭わされてきたことは印象的だった。

 Πの中に秘密があるという結論は、よくわからない。
 エリーの秘密が明かされる場面は、読者にとっても驚愕だったが、愛を持ってものごとを見るということが一番大切だということだろうか。
 訳し方が難解で、文語調の言い回しが多いので、これは注釈をつけてほしい。自分で辞書を引きながらゆっくり読み進めれば良いのだが。故に★3つ。