ちょス飯の読書日記

  『ミラノの風とシニョリ−ナ』    ★☆☆☆☆

 1986年あかね書房より刊行されたものを、加筆訂正したもの

 眞砂子様が、奈良女子大学住居学科を卒業してから、就職したくなくてイタリアへ遊学していた頃のエッセイ。

 それにしても、住む場所さえ決めずに行き当たりばったり、言葉の通じない街に暮らし始めるとは・・・。大胆でいいかげんな眞砂子様にびっくり。

 「インテリアデザイナー、建築家を自分が目指しているのではないことが分かった」、と帰国してから彼女は童話を勉強しだろうか。

 正直に好きに生きる、その孤独を楽しんだのだな。

 11年後に文庫版に、彼女のあとがきには、自分の若い頃の稚拙な文章や底の浅さに恥じ入っているとあるが、若い、至らないことの素晴らしさも、認めて賛美している。
 そうだ、無謀に、何もわからぬまま突き進むことも、また素晴らしいではないか。

 イタリア人のおんぼろアパートの家主のけちなばあさんは、したたかで愉快だった。他の人々は、やはり良い人ばかりで、つまらない。
 外国から来た言葉のわからない女の子に、優しくしてくれるのは世界共通なのだろう。