ちょス飯の読書日記

 『わたし』  ★★★★☆

 著者の自伝的エッセイ。ほぼ事実に基づくのだろうか。
 屈託があり、自意識の過剰な正義感の強い、頑張り屋だった。

 家から出るために、必死に勉強して高知の山の中から、奈良女子大へ進んだ坂東。

 認知症になってしまった祖母との幼い日々。8才で母親に見咎められるまで、祖母のお乳を吸って一緒に寝ていた、という箇所は、驚いた。
 その後、1人で眠るとき、猫のミ−コが「お母さん」となって、猫の腹の小さい乳首を吸ったという。

 また、高校時代に「擬態」せず、ありのままの姿をしていた変人のキョウコが、和式トイレで弁当を食べていたというところは、臭いが感じられた。

 家長として威厳を保とうとしていた、父。「平凡に生きなさい」と言ったことに、反発して、坂東は思い切りのびのびと生きることを選んだ。