ちょス飯の読書日記
『くちぬい』 ★★☆☆☆
- 作者: 坂東眞砂子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/09/26
- メディア: 単行本
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放射能汚染から逃れ、初めは村の自然にを満喫し、夫と第二の人生を生きようとしていた妻が、村人の執拗な嫌がらせにだんだん追い込まれてゆく。
原発事故による被害のひとつの物語というより、老人だけの村では、国家も警察も機能しない。「妬み」「嫉妬」という小さな小さな理由で人殺しも起きるが、村人が全員で隠蔽し、誰も証言しない。「口をつぐむ」、つまり、口を縫ったように閉じて生きている。そうしなければ、生きていけないのだ。
恐ろしい物語だったが、真砂子様の小説にしては、毒が少ない。
彼女の晩年の作。体調が、既に悪かった頃に書かれたからだろうか。