ちょス飯の読書日記
『ブギウギ』 ★★★☆☆
- 作者: 坂東眞砂子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/03/27
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 26回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
ぽっちゃりしていて、のろまな箱根の旅館で働いていた女中リツは、どんな情況でも歌を歌い続け、活路を開き遂にはブギウギを歌う歌手となっていく。ドイツ人水兵のパウルに、犯されてしまうが、自ら性の喜びを受け入れ、薪小屋で逢瀬を重ねて彼の子を産む。戦地から帰還した夫は捨て、子も置いて、彼女は戦後の東京へ出て行く。
女の強さ、したたかさがいつも、彼女の作品の中にある。
戦時中でも、知識階層の中には戦争を反対していた者がいた。また、ドイツ軍の中にも国を離れていれば、ナチによるユダヤ人タイ虐殺「民族浄化」を知らぬものがいた。そのようなことを、するはずが無い、すべきではないとたいていの者は思っていたのだ。
現実にアルゼンチンに逃亡したナチの残党が、以前逮捕されたニュースがあったが、ユダヤ人から没収した資産を、親ドイツ国だったアルゼンチンに秘匿していたことを、初めて知った。
主人公は、ドイツ語と英語に堪能な学者・通訳者法城。弱々しい男。坂東の物語に、ヒーローはいない。
しかし、最後の大立ち回りはかっこよかった。
2つの逆転劇が最後に待っていたが、これは無い方が良い。
これは、編集からの依頼で書いたものかもしれない。迫力がない。お題や資料を与えられて、書かされたような気がする。
映画に出来る、活劇物語だ。