ちょス飯の読書日記

 『胡桃の家』  ★★★★☆
 

胡桃の家 (新潮文庫)

胡桃の家 (新潮文庫)

 ごくごくどこにもありそうな話。地方の老舗菓子屋を守ってきた後家のおばあさんきぬと娘とく子、その孫娘槙子の話が二編。他二編も女の話の短編集。

 胡桃の油で、大黒柱を磨くとは知らなかった。林 真理子の小説には、頑張りやの母が必ず出てくる。美人と不美人の対立も。地方出身者と東京者。戦争で人生を狂わされた男たちは、あちこちにいたことだろう。最後まで、不出来な娘婿を追い出しもせず結局面倒を見た、おばあさん。世間体が家族崩壊を許させない時代だった。

 「玉呑み人形」では、愛する父のふがいなさに父の背中を叩く、槙子がいじらしく、切なかった。

 「女ともだち」では、完璧すぎる友人暁子の意外な面を知りたじろぐ淳子に同情した。誰にでも裏がある。東京で生き抜いていくということは、嘘をついてでも自分の権利を守っていく、そういうことなのだろうか。
 
 幼稚園お受験の話などは、筆者の実体験を語っているのだろうか。

 女同士の駆け引き、見栄の張り合いなどが、とてもリアルだった。