昨日ふたつ呪縛が解けた.

 ①chosu-manmaの職場の元同僚の油すましのじいさんが、向こうから歩いてくる。
 昨日午後チラシを配達していたら、偶然道端で出くわしたのだ。
 
 しかめ面をした老妻が後ろから付いて来る。

 「お散歩ですか?」と尋ねると、にたにたしている。油すましは、まったく利己的なじじいでパートのおばさん達の職場のリーダーとして500円かいくらか会社から余分に拝受していたが、いろいろな連絡事項も要望もまとめず、給料の不足分も個人で問い合わせてくれと何も、世話をしてくれない男だった。

 仕方なくchosu-manmaが皆の要望をまとめて文書にし、これを上司に伝えてほしいと言っても、「お前がやれ。」とそっけないのだった。

 なんちう無責任な。彼は、こうやって70年生きてきたのか。

 だが、昨日憎い油すましの姿をじっと見ると襟は曲がったまま、薄汚れたシャツを着ている。転んで怪我をした老妻の介護のため、職を辞したと言う。立派な家に住んでいるが、年老いて体が弱っていきつつあるふたりは、みすぼらしい夫婦なのだった。

 彼は、妻を大切にしているらしい。気晴らしの散歩を縦に並んで、彼らはしていたのだ。

 もう、彼を憎むのは止めた。

②この日の分の、チラシを配り終えようとしていると、近所の92歳のばあさんが、庭いじりをしている。

 こちらには無関係な近所の噂をいきなり話し出すと延々止まらないばあさんなので、「こんにちは。」と声をかけさっと通り過ぎようとすると、「この前から、あなたを待っていた。写真のお礼を持って行ってくれ。」と言う。

 「お礼は要りませんよ。100円もしていませんよ。」と言っても、ばあさんは聞こえないのか家に入っていった。「たまにはお茶を飲みに来て。」としつこいのだった。

 家にchosuがいるので、もし長いこと帰宅しなければ母に何かあったかと心配するだろう。

 ばあさんの噂話は止め処もなく続きそうなので、「これで失礼します。」と10分くらいで帰ってきた。

 彼女は、うどん三把、味付け海苔、菓子などを小袋に入れて待っていてくれた。「ご近所は、皆良い人ばかり」と言ったが・・・。
 「友達は、皆死んじゃった」と言う。

 淋しくて、誰彼かまわず物をやり相手をしてもらっているのだろうか・・・。

 もう、ばあさんを憎むのは止めよう。エリートの息子一家の自慢を、この日は一度もしなかった。