カンフー服の男

 chosu-pampaのラッパ練習に久しぶりに付き添う。すると、彼の近くで、ジャッキー・チェンと同じ黒いカンフー服を着て、摸造刀で見えぬ敵と戦っている男がいる。

 大学生が劇の練習をしているのかな。「それは、中国剣法ですか?」と声をかけると、「日本人です」と彼は答えた。

 「殺陣の練習をなさっているのですか?」「自分は俳優だが、近頃時代劇が減り、仕事がないがいつかアクションスターが必要になったときのために、練習をしているのだ。こう見えても45だ。」と。

 なかなかさわやかな容姿で、刀の振りポーズも決まっている。「それは、すごいですね。ブルース・リーの影響はありますか?」と少し話した。
 何故か、彼は上機嫌で名詞と飴玉をくれた。

 chosu-pampaは、以前より少しだけ上達していた。が、♯や♭になると指の押さえ方が難しいらしい。まごまごして楽譜に指定された速さでは吹けないのだった。
 彼は、律儀にメトロノームに合わせているが・・・。

 「まず初めから最後まで通して一曲吹けばいいよ。間違えても速度を変えずに。全体を吹ける様に。」速さは、楽譜どおりでなくてよい。ます、曲をマスターして、それから徐々に早く吹ける様になれば良いと思う。」とアドバイス。音楽5のchosu-manma。

 楽しむための練習が、「今日もうまく行かなかった」と彼は丘から帰って来る。趣味なのだから、楽しんでほしい。正確に吹くことは二の次だ。